どの国に住んでいても必ずお世話になるのが医療機関です。イギリスの場合は国が運営する医療機関と国以外が運営する医療機関があります。イギリスの国が運営する医療機関は当てにならないと言われますが、本当のところはどうなのでしょうか?私たちの20年近くの経験から感じたことを紹介します。
この記事でわかること
- イギリスの医療の仕組み
- GPの位置付け
- NHS医療とプライベート医療の接点
イギリスの医療機関の種類
まず始めに、イギリスの医療機関は次の2つに分類されます。
- NHS (National Health Service)
- Private
読んで字の通り前者は国が運営するのが医療機関です。後者はプライベートといって私的な医療機関によって提供されます。
イギリスに住む人たちはみんな「NHS」を利用でき、国が運営する医療機関を利用する限り、医療費は無料(処方される薬代は除く)です。
NHSでお世話になれば医療費は無料ですが、プライベートで運営されている病院へ行けば有料となります。
余談ですが、NHSは無料なので、病院には「会計窓口」はありません。日本の経験からすると「へぇ〜〜」という感じです。
2023年8月時点、イギリスにはある病院の数は1148です。その内訳は(出典:INTERWEAVE HEALTHCARE):
- NHSの病院数 930
- プライベートの病院数 218
NHS (エヌエイチエス)
イギリス国有の医療機関の利用にあたっては、自分の住んでいる地域の医者(日本で言うと近所の町医者に当たる)に登録(GP登録—GP=General Practitioner)する必要があります。
GP登録はオンラインで受け付けているところもあり、比較的簡単です。GP登録はイギリスで必要な医療を受ける申し込みのようなものなので、イギリスに住み始めらたら必ず登録をオススメします。登録は無料です。
- GPは必ず登録しましょう。
- GP登録は無料です。
- 特にGPを利用しない場合も、登録自体はすることが必要です。
GPは日本の町医者のような存在です。何か気になることがあれば、気軽に相談出来ます。
即日診てくれる地域と混み合って翌日以降になりがちな地域があります。これは実際に住んでみて利用するかGPの評判を検索して判断するしかないですが。。。
私たちの登録しているGPの対応は早くて便利です。例えば、私たちの登録しているGPは朝9時頃にオンラインで症状を伝えると、午前中に返信があり、急ぎの場合は同日診断を受けることになります。
A&E(救急病院)は大きなNHSの病院にある救急受付です。
ちなみに旅行者の場合、
- 旅行保険に入っていれば、保険でカバーされるプライベートの病院へ行くこともできます。
- 保険に入っていなければ、A&E(救急病院)は有料ですが旅行者も利用できます(NHSのA&Eの方が医療費は安い)。
Private(プライベート)
NHSに対して、有料なのがPrivateの医療です。
どのくらい高いの?
気になる医療費ですが、全額自己負担だとかなりの金額になります。日本での1割・3割負担の額に慣れていると目が飛び出るくらい高額です。
ぶっちゃけな感想を言うと日本は医療費が諸外国に比べ格段に安く感じます(たとえ10割負担と比べてもです)。
一つ重要な点を加えると、これは私たちの経験ですが、緊急を要する複雑な医療のケースはPrivateで診て貰っていてもNHSへ転送されるケースがあります。
高い医療費を払っているのにPrivateで診切れないケースも存在します。矛盾しているような気もしますが、理由はこういったケースに対応できる医者や医療設備はNHSに集中しているからです。
実際に、急病でプライベートに駆け込んでプライベート(結構大きな病院)に行きました。すると、直ぐに診てくれて応急処置をとってくれました。そして、次のように伝えられました。
- 応急処置はしたがかなり緊急なのでNHSのA&Eに搬送(救急車で)
- そのプライベートの病院では対応できる医者がいないくらい複雑なのでNHSで診てもらうのがベスト
プライベートに駆け込んだ1時間後にはNHSのA&Eの診察室に到着していた次第です!幸いにも素早い対応をして頂きその後、元気に回復することができました。
イギリスの医療の印象
ここで一般的にイギリスと日本の違いを挙げます(あくまで個人的に感想です)。
両国において医者の社会的な地位は共に高いのですが、一般的な医者の患者に対する姿勢は全く正反対のような印象を受けます。
医者と患者の関係は、日本ではほぼほぼ医者の「上から目線」ですが、イギリスは「対等目線」です。言い換えれば、イギリスの医者は威張ることなく患者目線で、常に丁寧に親切に対応してくれます。
気になる医療の水準ですが(これもあくまで個人的な感想)、イギリスはかなり高い水準です。高い水準の医療が英語で受けられると言う感じになります。治療方法は先端の技術を取り入れようとしているし、それぞれの患者に合わせて最適の治療方法を用いて柔軟に対応しています。
もしかしたら日本の場合はマニュアルに沿った治療方法で安心できる反面、杓子定規になりがちで柔軟性に欠けるかもしれません。
まとめ
繰り返しになりますが、GPは登録した方がいいです。NHSかPrivateかは住んでいる地域のGPの評判や加入している保険などの状況で柔軟に判断してみてはどうでしょうか。医療を受けないことに越したことはないのですが、必要な時もあるかと思うので、その時の参考になればと思います。